日光白根山|ロープウェイから史跡散策コースを巡る6時間の登山記

Panoramic view of the forest and sky seen during a hike on Mt. Nikkō-Shirane in early summer
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関東最高峰・日光白根山を歩く──史跡と自然に包まれる6時間の山旅(2025/6/21)

群馬と栃木の県境にそびえる日光白根山(標高2,578m)。今回は丸沼高原スキー場からロープウェイで登山口にアクセスし、史跡散策コースを半時計回りで巡るルートを選択。

静かな樹林帯、雄大な眺望、そして弥陀ヶ池や山頂の絶景まで、変化に富んだ登山道をじっくりと味わった。途中、昼食や小休止を含めて所要時間は約6時間。登山初心者でも楽しめるこのルートの魅力を、写真とともにレポートする。

 

目次

【アクセス情報】丸沼高原スキー場からロープウェイで登山口へ

関東から車でアクセスしやすい丸沼高原スキー場。今回は朝9時すぎに到着しました。天気は快晴、登山日和です。

朝の丸沼高原駐車場。広くて無料、アクセス良好です。

駐車場から徒歩ですぐ、赤い屋根が目印の「センターステーション」が見えてきます。ここがロープウェイの受付・発券所になっています。

赤い屋根が目印の「センターステーション」。ロープウェイの受付はこちら。

館内にはロープウェイの料金や、下山後に利用できる温泉「座禅温泉」の案内が掲示されています。登山後の温泉を楽しみにしている人も多いはず。

ロープウェイと座禅温泉の料金案内。登山後の温泉も楽しみのひとつ。

チケットを購入したら、ロープウェイ乗り場へ移動。緑のゲレンデを横目に、ゆるやかな坂を上っていきます。冬はスキー場として賑わうエリアです。

緑のゲレンデを進むと、ロープウェイ乗り場が見えてきます。

ロープウェイ乗り場前には、登山者向けの天気情報や注意事項が掲示されていました。この日の天気は「晴時々曇」。水分や防寒具の準備を整えておきます。

乗車前に登山情報をチェック。天気や注意事項の確認を忘れずに。

いよいよゴンドラに乗車します。木々の中を抜ける空中散歩は、非日常感たっぷり。標高差約600mを15分ほどで一気に登ります。

ロープウェイに乗ると、木々の中を抜けていく浮遊感が爽快!

山の斜面が迫り、だんだんと高度感が増していきます。天気が良ければ遠くの山並みまで見渡せます。

ゴンドラがぐんぐん高度を上げていく。標高差は600m以上。

到着した山頂駅には、展望広場や休憩所が整備されていて、すでに標高約2,000mの高原の空気を感じられます。ここから本格的な登山が始まります。

山頂駅に到着。ここが登山の出発点「天空の足湯」エリアです。

駅前にはベンチやカフェ風の施設もあり、登山前に一息つくにはちょうどいい雰囲気です。

ロープウェイ山頂駅付近の休憩スペース。景色を見ながら一息つけます。

 

【山頂駅エリア】日光白根山の展望・施設を楽しむ

ロープウェイで標高約2,000mの山頂駅に到着すると、目の前には開放感のある景色が広がります。登山前に立ち寄りたいスポットも充実していて、のんびり過ごす人の姿も多く見られました。

登山ルートが一目でわかる「日光白根山登山マップ」。ルート選びの参考に。

登山口の近くには「天空の足湯」があり、天然水を使った足湯でひと休みできます。ここからは白根山を間近に望む絶景が広がり、すでに登山気分は最高潮。

丸沼高原の湧水を使った「天空の足湯」。開放的なデッキでリラックス。
足湯の解説看板。「大空に翼を広げて舞う鳥」をイメージした開放空間。
足湯デッキからの展望。天気がよければ遠くの山々まで見渡せます。

一息ついたら、登山前に腹ごしらえもおすすめ。山頂駅には「天空カフェ」やレストラン「しらね」があり、軽食やスイーツ、白根山バーガーなど地元感のあるメニューが揃っています。

ウッドデッキが心地よい「天空カフェ」。外のテラス席も人気。
天空カフェのメニュー。白根山バーガーやアップルパイが人気。
山頂レストラン「しらね」。トイレも併設されていて便利。

このエリアには白根山の解説板や自然園的な散策スペースもあり、登山せずに景色だけを楽しむ人にもやさしい設計です。

日光白根山の概要案内板。歴史や信仰についても触れられています。
広場の奥から見える日光白根山。いよいよこれから登ります!
山頂駅周辺の全景。木々と岩の自然が美しく調和した空間です。

準備が整ったら、いよいよ登山スタート。目指すは関東以北最高峰・標高2,578mの日光白根山です。

 

【登山開始】静かな樹林帯を歩く白根山登山ルート

準備を整えて、いよいよ日光白根山への登山開始。ロープウェイ山頂駅のすぐそばにある鳥居をくぐると、登山道の入口です。ここから標高差約600mをゆっくりと登っていきます。

登山口の目印はこの赤い鳥居。横には案内板と神社の案内も。

登山道に入るとすぐ、道沿いには詳細な登山道・散策路マップが掲示されています。現在地やルート分岐が視覚的にわかりやすく、初心者にはありがたいポイント。

登山道と散策路が一目でわかるマップ。ルート選びに便利です。

スタート直後は歩きやすい緩やかな林道。柔らかい木漏れ日が差し込み、空気もひんやりと澄んでいます。標高が高いせいか、真夏でも涼しさを感じました。

登山開始直後の緩やかな林道。ゆっくりペースでウォーミングアップ。
途中には現在地を示す案内板も点在。安心して進めます。

やがて道は少しずつ登りに変わり、階段や段差が増えていきます。木の根や岩が張り出している箇所もあり、足元には注意が必要です。

整備された丸太階段。徐々に登山らしい道に変わっていきます。
木々の密度が高く、真夏でも日差しが遮られて涼しい。
岩と根が入り交じる登山道。自然の道を踏みしめていく感覚が心地いい。

途中の分岐点では、現在地から山頂までの距離を示す標識も。ロープウェイ山頂駅からはまだ0.9kmほど、白根山山頂まではあと2.5kmです。

「山頂まで2.5km」の看板。まだ序盤ながら、自然の静けさが気持ちいい。
登山道は苔や低木に囲まれていて、まるで森のトンネルのよう。

この辺りはまだ樹林帯の中ですが、標高を上げるごとに景色や植生も変化していきます。ここから徐々に森林限界が近づき、視界が開けてくる地点へ向かいます。

 

【森林限界】視界が開ける高所ルートと絶景ポイント

樹林帯を抜けると、風景が一変する。これまで頭上を覆っていた木々の緑が消え、空が大きく開けた。森林限界に達し、視界は一気に広がっていく。

緑がまぶしい登山道。森林限界が近づき、空が見え始めた。
足元にはゴロゴロした岩と木の根。徐々に傾斜が増していく。

登山道は岩混じりの急斜面に変わり、足を置く場所に注意が必要だ。傾斜が増すにつれて、呼吸もやや苦しくなるが、その分風景はどんどん壮大になっていく。

バイケイソウの鮮やかな緑。高山帯の生命力を感じる。

やがて高い木は姿を消し、広々とした草地と岩が広がる稜線に出た。空が近く感じるこの場所で、立ち止まって振り返ると、驚くほどの絶景が目に飛び込んでくる。

樹林帯を抜けた先に広がる稜線と空。まさに絶景の始まり。
急登が始まる。登山者の列が小さく見える標高2,400m付近。

見晴らしの良い稜線からは、男体山や戦場ヶ原方面まで一望できた。山の輪郭をなぞるように薄い雲が流れ、自然の広さと静けさを一身に受ける感覚があった。

男体山や戦場ヶ原方向を望む。風が涼しく、心が洗われる。
風の音と静けさの中、登山者が一歩一歩前進していく姿。

 

【山頂到達】日光白根山の頂へ|標高2,578mの景色

ついに山頂直下までたどり着いた。最後の登りは急傾斜の岩場。多くの登山者が列をなしてゴツゴツした岩をよじ登っていく。

登頂目前。多くの登山者が岩場を慎重に登っていく。

岩を一つひとつ確かめながら登っていくと、ようやく視界が開けた。そこが標高2,578m、関東以北最高峰・日光白根山の山頂だった。

山頂からの景色。雲の切れ間から光が差し込み、幻想的な眺め。

山頂からは、南側に男体山、中禅寺湖、戦場ヶ原がくっきりと見える。北側には五色沼が深い青を湛え、足元には雪渓が残る。

残雪と水たまり。6月でも雪が残る高山帯の厳しさ。
五色沼を見下ろす。ここからの景色は日光白根山ならではの特権。

風もほとんどなく、気温もちょうどよく快適だった。標高2,578mの山頂にしては珍しく穏やかなコンディションで、景色をゆっくりと楽しむことができた。これほど落ち着いた空の下で山頂を味わえるのは、運がよかったと言っていいかもしれない。

山頂の平坦部で一休み。雲の流れと空の広さにしばし圧倒される。

登頂の達成感と絶景のご褒美に包まれながら、しばしその場に立ち尽くした。体の疲れも、汗も、すべてが報われた瞬間だった。

山頂での余韻を胸に、下山は史跡散策コースを半時計回りに進み、弥陀ヶ池を目指します。

ガスの隙間から男体山が姿を見せる一瞬の景色。
下山ルートでも岩場が。慎重に進みます。
弥陀ヶ池が見えてきました。緑に囲まれた美しい池です。
足元にはコバイケイソウの群生。時期が合えば見頃です。
下界ではもう見られない桜も、ここではまだ咲いていました。
ロープウェイへ向かう分岐点。名残惜しさを感じながら進みます。

最後まで咲いていた登山道脇の小さな花が、静かなエールを送ってくれました。

 

【下山道】静けさと歴史に触れる癒しの山道

道の両側にはロープが張られ、踏み跡が自然に守られていた。

このルートは視界が開け、森から草原へと風景が切り替わる。上りで感じた緊張とは違い、下りには安心感と名残惜しさがある。空は青く、風は穏やかで、まるで山が見送ってくれているようだった。

やがて現れたのは、「血の池地獄」という名の湿地。

伝説的な名前に反して、緑に包まれた静謐な空間。

その名の由来は、かつて修験者たちがこの地で命を落としたことにあるという。足を止め、水面に映る森の影を見つめると、山の歴史と人々の祈りが交差する感覚に包まれた。

さらに進むと、「六地蔵」にたどり着く。

六体の地蔵はそれぞれ違う姿で祀られていた。
仏教の「六道」の考えに基づき、すべての命を救う願いが込められている。
祠の中には、静かに並ぶ地蔵たちが旅人を見守る。

登山の中間地点でもない、終わりでもないこの場所に、信仰と休息が共存していることが不思議だった。ここで腰を下ろし、水を一口飲んだとき、山の空気がすっと体にしみ込んでくる気がした。

道は徐々に開け、登山口が近づくにつれて木々の隙間からロープウェイの建物が見えてきた。

見下ろせば、登山前に立っていた地点が視界に入る。
すぐそこにある日常と、背後にある非日常の境界線。

最後の坂を越えると、草原に出た。登りの時には気づかなかったが、帰り道から見上げる山の稜線は穏やかに波打っていて、今までの険しさが嘘のように静かだった。

あの空の向こうに、今日の冒険があった。

振り返ると、あの頂がまだ雲の中に見え隠れしていた。もうすぐ下山だというのに、足を止めてしばらく見つめてしまう。きっと誰もが、一度はこの気持ちになる。

 

【登山の締めくくり】温泉と自然で心を整える下山後の余韻

ロープウェイ終了後の下山ルート案内板。夜間は動物との遭遇リスクも。

カフェの温度計を見ると、気温は22度でちょうどよかった。

標高の高さを実感する平野部より低めの気温。
下界では初夏の花が鮮やかに咲き誇る。

ふもとに降り立つと、花が咲き、木々が揺れ、静かに登山者を迎えてくれる。ルピナスの紫がやさしく目に映った。

登山の締めくくりにぴったりな座禅温泉。最終受付は17時。

汗を流すために立ち寄ったのは「座禅温泉」。湯船に身を沈めたとき、疲れがふっとほどけていくのを感じた。登山の終わりにこうした癒しがあるのは、本当にありがたい。

 

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