奥日光・切込湖と刈込湖ハイキング|光徳牧場から涸沼を経て静寂の湖へ

奥日光の秘境へ――切込湖・刈込湖ハイキング
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奥日光の秘境、切込湖と刈込湖。光徳牧場から山王峠や涸沼を経由して歩くハイキングコースは、四季折々の自然に包まれた静寂の時間を楽しめます。新緑や紅葉の季節は特に美しく、湖面に映る山々の姿はまさに絶景。アクセスや光徳温泉(日光アストリアホテル)での立ち寄り情報も含め、奥日光ならではの湖沼群ハイキングの魅力を詳しくご紹介します。

目次

切込湖・刈込湖とは?奥日光の秘境にある湖沼群

2025年9月27日、秋晴れの奥日光を歩き、切込湖(きりこみこ)と刈込湖(かりこみこ)を訪れました。標高約1,500mに位置するこれらの湖は、光徳牧場や湯元温泉からアクセスできる秘境のような存在です。

秋空の下に広がる於呂倶羅山。切込湖・刈込湖の背後にそびえ、湖の景観をより雄大に見せてくれる

湖の成り立ちは古代の火山活動に由来し、三ツ岳の噴出物が沢をせき止めて誕生しました。さらに、この地には「大蛇伝説」が残されています。むかし大蛇が村人を苦しめていたところ、日光開山の祖・勝道上人が退治し、その体を湖に沈めたと伝えられています。伝説の名残が、切込湖・刈込湖という名前の由来ともなっています。

ここでまず目に飛び込んでくるのは、湖へと続く自然歩道の景観です。

奥日光らしい原生的な雰囲気を感じられる

やがて視界が開け、涸沼(かれぬま)の草原が広がります。この湿原の向こうに見えるのが於呂倶羅山(おろくらさん)で、湖や峠と共に独特の地形を形づくっています。

涸沼の草原越しに望む於呂倶羅山。澄み切った空と山のコントラストが美しい

切込湖と刈込湖は隣り合う湖でありながら、不思議なことに水の流出口が見当たりません。水は地下に吸い込まれていると考えられており、まさに神秘的な湖といえます。

切込湖・刈込湖ハイキングコースの魅力

切込湖・刈込湖へは、光徳牧場からスタートするハイキングコースが一般的です。光徳牧場の広々とした風景を背に歩き出すと、すぐに木道が現れ、苔むした森とササ原を抜けていきます。登山というよりも「森の散歩道」といった雰囲気で、初心者でも安心して歩けるのが魅力です。

森のトンネルのように木々が覆いかぶさる小径。木道の上を歩くと、足音も吸い込まれるほど静か

道のりは片道約1時間半。光徳牧場から涸沼までは比較的なだらかで、原生林や湿原の景観を楽しみながら進めます。

涸沼に広がる草原。於呂倶羅山を背景に、開放感あふれる景色が続く

涸沼を抜けると、いよいよ切込湖と刈込湖への道に入ります。ここからは湖を目指して樹林帯を進むルートとなり、やや起伏も出てきますが整備はしっかりしており安心です。

光徳牧場にある案内板。湖や峠、光徳方面へのルートが分かりやすく示されている

ハイキングコースの途中にはベンチも設けられており、深呼吸しながら休憩をとるのもおすすめです。聞こえてくるのは風に揺れる木々の音と鳥の声だけ。奥日光ならではの静寂が広がっています。

木道の脇に置かれたベンチ。腰を下ろせば、森の香りと涼しい空気を存分に味わえる

切込湖・刈込湖のハイキングは片道2時間半ほどの歩きやすいコースですが、
飲み物や軽食、防寒具などを持ち歩くにはしっかりしたリュックが欠かせません。
特に25L前後の容量があると、日帰りトレッキングにちょうど良いサイズです。


フォトスポット紹介|湖面と風景の絶景

光徳牧場から歩き始めておよそ2時間半、森の中を抜けると刈込湖(かりこみこ)が目の前に広がります。深い緑に囲まれた湖面は驚くほど透明で、陽射しの角度によってエメラルドグリーンから藍色へと色を変えます。思わず足を止め、しばし見入ってしまうほどの静けさが漂っていました。

刈込湖の湖岸に到着。水面の透明度と静寂が訪れる人を包み込みます
湖畔の砂地に立てば、水面に映る周囲の森が鏡のように輝きます。
静かな湖畔で耳を澄ませば、風と水音だけが聞こえてきます

切込湖(きりこみこ)は刈込湖に比べてより森に抱かれた雰囲気が強く、神秘性が際立っています。

切込湖の湖面は森を映し込み、まるで水鏡のような静寂をたたえています

湖畔にはベンチなどの人工物はなく、ただ自然のままの姿が残されています。時折り湖面に落ちる木の葉が波紋を広げ、それがまた自然の美しさを強調していました。

森の奥深くに佇む切込湖。訪れる人も少なく、まさに奥日光の秘境

刈込湖と切込湖は、隣り合う湖でありながらそれぞれに個性があります。刈込湖の開放感、切込湖の神秘性。この二つを同時に体感できることこそが、このハイキングの大きな魅力です。

光徳牧場と光徳温泉(アストリアホテル)情報

湖畔でゆったりとした時間を過ごしたあと、来た道を引き返して光徳牧場へ戻りました。広々とした草地に牛が放牧され、どこか懐かしい風景が迎えてくれます。自然の中を歩いたあとの牧歌的な景色は、心をほっと和ませてくれました。

光徳牧場の駐車場。

牧場にはレストランや売店があり、ソフトクリームや軽食が人気です。ハイキング後の甘い一口は格別で、訪れた人の多くが立ち寄るスポットになっています。

光徳牧場の売店。登山やハイキング前後に立ち寄れる休憩スポットで、ソフトクリームや軽食が人気です。

また、下山後の楽しみとして欠かせないのが光徳温泉です。今回は日光アストリアホテルに立ち寄りました。泉質は硫黄を含んだ単純泉で、疲労回復や美肌効果が期待できると評判です。

日光アストリアホテルの温泉案内。日帰り入浴が可能

しかし到着したのは午後3時。日帰り入浴は午後3時で受付終了、午後3時半までと時間が限られているため、残念ながら今回は断念することになりました。次回はもう少し早めに下山して、湖歩きの余韻とともに温泉も楽しみたいところです。

このように光徳牧場と光徳温泉をセットで楽しめば、自然散策から食、温泉まで奥日光を一日満喫できます。

山王林道とアクセス上の注意点

切込湖・刈込湖のハイキングに関して、近年は山王林道の通行規制が頻繁に行われています。実際、今回訪れた際にも山王峠から先は工事のため通行止めとなっていました。

工事実施による通行止めの案内板。令和7年9月下旬までの予定

山王林道は光徳から山王峠を経て川俣方面へ抜ける重要な林道ですが、現在は 山王峠付近の太郎山登山口駐車場までは通行可能。そこから川俣方面へ約1km先で完全に通行止めとなり、車での通り抜けはできません。

太郎山登山口近くの駐車場。この先で林道は通行止めになる

湖や太郎山をハイキングする場合には大きな影響はありませんが、川俣温泉や女夫淵方面へ車で抜ける計画を立てる人は注意が必要です。最新の道路状況は、栃木県西環境森林事務所や日光市の観光情報サイトで確認するのがおすすめです。

山王峠に設置された「通行止めです」の看板。ドライバーは要注意

工事期間中ではありますが、光徳牧場から湖沼群へのハイキングは問題なく楽しめます。訪れる際は登山道だけでなく林道の情報も事前に調べておくと安心です。

まとめ

切込湖(きりこみこ)と刈込湖(かりこみこ)は、奥日光の自然がそのまま残る静寂の湖沼です。光徳牧場からスタートするハイキングは、涸沼(かれぬま)や山王峠を経由しながら往復4〜5時間。森を抜けるごとに景色が変わり、最後に現れる湖面の鏡のような風景は、歩いた人だけが出会えるご褒美です。

切込湖に映る山並みと雲。神秘的な静けさに包まれる瞬間

また、光徳温泉(日光アストリアホテル)に立ち寄れば、歩いた後の疲れを癒やすこともできます。ただし入浴時間が限られているため、事前に営業時間を確認しておくと安心です。

光徳温泉の拠点「日光アストリアホテル」。日帰り入浴は午後のみ利用可能

アクセス面では、山王林道が工事で通行止めとなる期間があるため、ドライバーは最新情報のチェックが欠かせません。それでも登山口の駐車場は利用可能で、変わらず湖の魅力を楽しむことができます。

林道は一部通行止めだが、ハイキングコースへの影響はない

奥日光の中でも比較的訪れる人の少ない切込湖・刈込湖は、喧騒を離れて自然と向き合うのに最適の場所です。紅葉や新緑、四季折々の表情を見せる湖をぜひ一度、自分の足で確かめてみてください。

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