2025年7月5日、高根沢町にある宮内庁御料牧場(ごりょうぼくじょう)を自転車で訪れ、その外観と周辺風景をじっくり観察してきました。
一般には非公開で中には入れない御料牧場ですが、その静かで広大な風景と、外からでも感じられる厳かな雰囲気には心を打たれます。
今回は、実際に撮影した写真とともに、御料牧場通りを通って感じたことを綴っていきます。
第1章:御料牧場通り――静寂に包まれた“入れない名所”
「宮内庁御料牧場」と書かれた白い看板が、深い森の入口にひっそりと立っています。
ここは、栃木県高根沢町にある皇室専用の牧場。その広さは東京ドーム54個分とも言われ、皇族の食を支えるための特別な場所として知られています。
しかし、ここは一般公開されていません。観光地でありながら、見学は基本不可。
だからこそ、外からその“静寂”を味わうという、少し不思議な観光体験ができます。

御料牧場通りを歩いてみると、まず感じるのは音のなさです。聞こえるのは遠くの牛の声と、時折通り過ぎる車のエンジン音だけ。人の気配はなく、歩道もありません。
もし歩道が整備されていれば、散歩やジョギングには最高のロケーション。
整然とした並木道と空の広さが、心を静かに整えてくれるような空間です。

それでも、フェンス越しに広がる牧草地や遠くに見える馬の姿は、確かにここが「生きている牧場」であることを伝えてきます。
入れない、でも感じられる――御料牧場はそんな場所です。
第2章:広さと静けさの中で出会う、牛・馬・羊たち
御料牧場通りを歩いていると、時おり視界の先に牛や馬、羊たちの姿が現れます。
しかしその数は思いのほか少なく、“とにかく広いのに、動物は少ない”というのが正直な印象でした。

放牧地は柵で囲まれており、動物たちは自由に草を食んでいます。
牛は2頭ほどが静かに佇み、近くにもう1頭、遠くにはさらに数頭見えます。
ときおりこちらを気にするような視線を感じますが、それも一瞬だけ。すぐにまた草に顔を戻していました。

さらに奥には、馬の姿も。茶色い体をした馬が草を食べている様子は、まるで絵本のような風景でした。

少し移動すると、羊の群れにも出会えました。
建物のそばで、群れになって草をはむ羊たち。こちらは少しにぎやかで、草の中をもぞもぞと動き回っています。

御料牧場の魅力は、動物と自然との距離感にあります。
近づけないもどかしさと、遠くからだからこそ感じる“静かな命の営み”。
人の声が届かない距離で、黙々と草を食べる彼らの姿を見ていると、なんとも言えない安心感に包まれます。
この場所が「皇室のための牧場」であることを、しみじみと実感する時間でした。
第3章:想像するしかない、その先の“皇室の暮らし”
御料牧場を外から眺めていて、ふと頭に浮かんだのが「皇族の方々は、ここでどんな風に過ごしているのだろう?」という素朴な疑問でした。
中の様子はもちろんわかりません。建物は遠くにぼんやりと見えるだけで、人の気配もなく、音もありません。
それなのに、何か“特別な空気”だけが、じわりと伝わってくるのです。

たとえば、天皇陛下が乗馬をされる姿、皇族の方々が草原をゆっくりと歩く様子、
あるいは、お子さまが動物とふれあうような光景……。
どれも見えないし、実際にはわかりません。
でも、“見えないからこそ想像がふくらむ”。
それがこの御料牧場の最大の魅力のようにも思えました。

都市部では得られない、“静かな観察”と“想像の旅”。
御料牧場を訪れるという行為は、もしかすると観光ではなく、
自分の中で皇室や日本の歴史にそっと思いを寄せる“内なる時間”なのかもしれません。
見えないその先に、確かに何かがある――そう感じた瞬間でした。
「皇室の方々は、どんな日常を送っているのか」――御料牧場を前にそう思った方に、ぜひおすすめしたい一冊があります。
愛子さまの成長と歩みを、美しい写真とともにたどるドキュメンタリー
『祝・ご就職記念 愛子さまの日々』。
写真では見えなかった“皇室の日常”が、ここには詰まっています。
立ち入れないからこそ惹かれる――御料牧場の空気を写真で旅する
御料牧場は、ただの非公開施設ではありません。
歩道もなく、駐停車も困難なため、徒歩でも車でもゆっくり眺めることができない“本当に立ち入れない場所”です。
それでも、今回撮影した写真からは、
その凛(りん)とした静けさ、どこまでも続く牧草地、そして遠くに佇む動物たちの姿が、少しでも伝わればと思います。
御料牧場の魅力は、「見えないから惹かれる」こと。
そして、「近づけないから心で想像する」こと。
地図にあるのに観光できない、でも静かに“そこにある”存在。
今回撮影した風景写真を通して、
画面越しに少しでも御料牧場の空気を味わっていただけたら幸いです。
あなたもいつか、高根沢の地を訪れたときには、
その静けさの余韻を思い出してみてください。
御料牧場は、きっとあなたの中で、“行かずに感じる観光地”として記憶に残るはずです。