栃木県茂木町の隠れた古社 荒橿神社を訪ねて

荒橿神社の参道と巨木に囲まれた境内の様子
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茂木町の高台にひっそりと佇む荒橿神社(あらかしじんじゃ)

かつて茂木城の鬼門を守ったとされるこの神社は、樹齢800年のケヤキ荘厳な本殿が今も訪れる人々を迎え入れます。

アクセスのしづらさからか観光地化されていない分、静けさと神聖さが際立つ一社。

今回は、そんな隠れた名所・荒橿神社を実際に歩いて感じた魅力とともにご紹介します。

目次

高台に佇む歴史ある神社・荒橿神社とは

入口で出迎えてくれる案内板。

栃木県茂木町小井戸の高台に鎮座する荒橿神社(あらかしじんじゃ)は、歴史と神秘に包まれた古社です。社伝によれば、平安時代初期の大同元年(806年)に創建されたとされ、茂木城(桔梗城)の鬼門除けとして信仰されてきました。

また、『延喜式神名帳』に記載された下野国芳賀郡の式内社「荒樫神社」に比定されることから、古くからの格式と由緒がうかがえます。江戸時代には、茂木藩主・細川氏により本殿が再建され、昭和13年(1938年)には旧県社に列格。地元の総社として、今なお地域の信仰を集めています。

神社は城山公園の北東側の丘陵地に位置し、少し山を登った先にあります。うっそうと茂る木々に囲まれた参道を進むと、空気が一変し、まるで時が止まったような感覚になります。

参道の中腹から社殿方向を見上げる。木漏れ日と苔むした石段が静謐な雰囲気を醸し出します。
厳かな佇まいの拝殿。茂木城の鬼門を守り続けてきた存在感があります。
境内の奥から仰ぎ見ると、巨木に囲まれた社殿がひっそりと鎮座している様子がよくわかります。

こんな場所に?驚くほど荘厳な境内の空気

荒橿神社に足を踏み入れると、まず驚かされるのはその圧倒的な静けさと神聖な空気感です。茂木町の住宅地から少し北へ進むと、まるで別世界のような森に囲まれた高台が現れ、そこにこの神社は静かに佇んでいます。

鳥のさえずりと葉のざわめきだけが響く境内には、樹齢800年ともいわれるケヤキの巨木をはじめ、見上げるほどの杉やカシの古木が林立。地面には苔が広がり、自然と一体化した神域としての趣が色濃く感じられます。

このような立地にこれほどの神社があるとは思わず、訪れた瞬間に「こんな場所に、こんな荘厳な神社があるなんて」と感嘆の声がもれることでしょう。地元の人々に守られ、観光地化されすぎていないからこその魅力がここにはあります。

苔むした石段と古びた灯籠が、時間の積み重ねを感じさせます。

式内社・荒橿神社の歴史と御朱印情報

由緒書きに目を通すと、神社の深い歴史が伝わってきます。

荒橿神社は、平安時代に編纂された『延喜式神名帳(えんぎしき じんみょうちょう)』にも名を連ねる、由緒正しき式内社とされています。下野国芳賀郡の「荒樫神社」と比定されており、その歴史はおよそ1200年以上と伝わります。

創建については諸説あり、社伝によると大同元年(806年)に茂木城(桔梗城)の鬼門除けとして高台に祀られたのがはじまりとされています。また別の説では、鎌倉時代の建久年間(1190〜1199)に茂木城築城とともに創建されたとも。

この地は風水的に重要な位置にあり、戦国時代には茂木城主や藩主に厚く信仰されたほか、細川長門守によって享保年間(1721年)に本殿が再建されたという記録も残っています。

重厚な造りの社殿。歴史の重みと静けさが漂います。

また、この神社はauのCM(半額屋編)ロケ地としても知られ、神聖な雰囲気の中にもどこか親しみやすさを感じられるスポットでもあります。

御朱印は鹿島神社で

現在、荒橿神社では御朱印の直接授与は行っていません。代わりに、兼務社である益子町の鹿島神社にて、荒橿神社の御朱印をいただくことが可能です。御朱印帳をお持ちの方は、ぜひそちらで拝受してみてください。

アクセスと参拝時の注意点

荒橿神社(あらかしじんじゃ)は、茂木駅から徒歩で約15〜16分という距離にありながら、その参道は驚くほど静寂に包まれています。高台に位置しており、登る道の途中からは、町の喧騒をまったく感じさせない別世界が始まります。

筆者が訪れた2025年7月6日、昼下がりの境内には誰一人としておらず、木々の揺れる音と鳥のさえずりだけが響いていました。

南側からのルートをおすすめします

重要な注意点として、北側からの進入路は非常に狭く、車では危険を感じるレベルの道幅です。細い山道で離合も難しく、運転に自信がない方にはおすすめできません。案内板も少なく、初訪問の場合は迷いやすいルートです。

荒橿神社 北側参道入口。左の山道を登ると神秘的な鎮守の森へと続きます。

一方、南側からのアプローチであれば道幅も広く、案内も比較的分かりやすいため、スムーズにアクセスできます。神社の入口に至るまでは少し坂を登りますが、舗装されており安心です。

南側からの階段。整備されており安心して通れます。

御朱印と周辺スポット

参拝後には、御朱印をもらいたいという方も多いはず。ですが、荒橿神社には常駐の神職や社務所がなく、境内での御朱印授与は行っていません。代わりに、益子町にある鹿島神社にて、荒橿神社の御朱印を頂けると案内されています。

こんなところに、こんな神社が――その驚きが魅力

実際に訪れて感じたのは、「まさかこんな山中に、これほど荘厳で立派な神社があるなんて!」という驚きでした。うっそうとした森に囲まれながら、参道の石段や巨木、そして苔むした灯籠が静かに迎えてくれる雰囲気は、まさに異世界への入口。

この日は天候もよく、参拝後には周囲の空気が一段と澄んで感じられました。心のざわつきがスッと引いていく、そんな感覚が残っています。

周辺スポットで茂木を深堀り

参拝の前後に立ち寄れる観光スポットも多数あります。

  • 城山公園(徒歩10分ほど):かつての茂木城跡に整備された公園。四季折々の自然と眺望が楽しめます。
  • 八雲神社(茂木町中心部):御朱印が頂けるほか、神社巡りが好きな方におすすめの一社。
  • たばこ神社:全国的にも珍しい由来を持つ神社で、茂木町のユニークな歴史に触れられます。

車があれば、モビリティリゾートもてぎ(旧ツインリンクもてぎ)にも立ち寄り可能。家族連れやドライブがてらの訪問にぴったりです。

静けさの中にある歴史、自然、そして信仰の空気。荒橿神社は、茂木町の誇る“静かな名所”として一度は訪れる価値のあるスポットです。

 

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週末旅にぴったりな1冊、気になる神社がきっと見つかりますよ。

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