川治ダムを訪ねて|紅葉の八汐湖と秋の絶景を満喫【日光市】

140メートルの曲線が描く、紅葉の美。 川治ダム ― 技術と自然が響きあう場所。
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2025年11月2日、日光市川治温泉の「川治ダム(かわじダム)」を訪ねてきました。ちょうど紅葉のピークを迎え、山々を染める秋色の中にアーチ式ダムが堂々とたたずんでいました。八汐湖(やしおこ)の静かな水面に紅葉が映え、写真好きにもおすすめの絶景スポットです。

目次

川治ダムとは?鬼怒川上流を支える巨大アーチ式ダム

2025年11月2日、日光市川治温泉にある「川治ダム(かわじダム)」を訪れました。標高およそ500メートルの山あいに位置し、周囲を深い渓谷と紅葉の山々に囲まれた美しい場所です。川治ダムは鬼怒川上流の治水と利水を担う国土交通省管理の多目的ダムで、1983年(昭和58年)に完成しました。

穏やかな青空と紅葉のコントラストが印象的な一枚。(2025年11月2日撮影)

堤高は140メートル、堤長は320メートルにおよび、構造形式は「アーチ式コンクリートダム」。左右の岩盤に水圧を逃がす曲線構造が特徴で、日本国内では4番目の高さを誇ります。曲面が光を反射して見える姿は迫力があり、見上げるほどの存在感があります。

秋の山々に囲まれた川治ダム。左奥に見える白い建物が「川治ダム資料館」です。(2025年11月2日撮影)

このダムによって形成されたダム湖は「八汐湖(やしおこ)」と呼ばれ、洪水調節や上水道の供給、発電など多目的に利用されています。また、川治ダムは鬼怒川上流の「五十里(いかり)ダム」「川俣(かわまた)ダム」「湯西川(ゆにしがわ)ダム」と並ぶ“鬼怒川上流四ダム”の一つとして知られています。

堤体上の歩道は自由に通行でき、上からは湖面と紅葉の山々が一望できます。訪問した日は風が穏やかで、堤体の下を流れる鬼怒川の音だけが静かに響いていました。工学的な美しさと自然の調和を同時に感じられる場所です。

紅葉に包まれた八汐湖(やしおこ)と静寂の水面

川治ダムの上流に広がるダム湖「八汐湖(やしおこ)」は、栃木県内でも屈指の紅葉スポットです。湖を囲む山々が赤や黄に染まり、水面にはその色が静かに映り込みます。訪れた2025年11月2日は、まさに紅葉のピーク。秋晴れの空と湖の青が溶け合い、思わず足を止めて見入ってしまうほどの美しさでした。

青空に包まれた八汐湖。紅葉が水面に映り込み、静寂の中に秋の深まりを感じます。(2025年11月2日撮影)

湖畔には車を停めてゆっくり眺められる場所があり、風が弱い日には鏡のような湖面に山々がくっきりと映り込みます。人工湖でありながらも自然との一体感があり、季節ごとに違う表情を見せてくれるのが魅力です。春の新緑、夏の深い緑、そして秋の紅葉と、年間を通して訪れる人が絶えません。

湖面にのびる取水設備。堤体の先に広がる八汐湖は、青く澄んだ静けさをたたえています。
堤体と湖のコントラストが美しい。湖面の奥まで紅葉が広がっています。

堤頂から眺めると、八汐湖の奥に折り重なる山並みが遠くまで続き、ダム湖とは思えない自然の造形美が広がります。日差しの角度によって湖面の色が刻々と変わり、朝と午後ではまったく違う印象を与えます。特に午前中の光は穏やかで、紅葉のグラデーションをやわらかく照らしていました。

この日は静かな風が吹き、湖面に小さな波が立つたびに光がきらめいて見えました。人工の構造物であるダムと、自然の息づかいを感じる山々。その対比こそが川治ダムの魅力なのだと実感しました。

川治ダム資料館とダムカードの楽しみ方

川治ダムを訪れたら、必ず立ち寄りたいのが「川治ダム資料館」です。堤体のすぐ隣に建つ白い建物で、見学は無料。館内にはダムの構造や建設の歴史を紹介するパネル、模型、映像資料などが展示されています。専門的な内容もわかりやすく解説されており、大人から子どもまで楽しめます。

展示では、川治ダムが建設された背景や、アーチ式ダムの仕組みが丁寧に説明されています。特に印象的だったのは、実際に使われた建設機材の写真と、地層を利用した設計の工夫。鬼怒川上流の厳しい地形条件の中で、どのように巨大なアーチを築いたのかが理解できます。

また、資料館では「川治ダムのダムカード」が配布されています。配布時間は概ね8:30〜17:15(年末年始休館あり)で、職員の方に声をかけるともらえます。訪問時は管理支所での配布案内もあり、時期によって場所が変わることもあるため、最新情報の確認が安心です。

館内の2階からは、窓越しに堤体の全景を望むことができ、展示で学んだ後に実際のスケールを体感できます。窓の向こうに広がるアーチ構造と紅葉の山々は圧巻で、ダムを“見学する”というより、“鑑賞する”という感覚に近いものでした。

学びと景観の両方を楽しめるこの資料館は、川治ダム観光の中心的スポット。ダムカードをきっかけに、他の「鬼怒川上流四ダム」へ足を延ばすのもおすすめです。

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堤頂から望む紅葉の峡谷と周辺の楽しみ方

資料館の見学を終えたあとは、堤頂(ていちょう)に上がってみましょう。ここからは、鬼怒川の峡谷と八汐湖を一望できます。訪れた11月初旬は紅葉が最盛期で、深紅と黄金の木々が山肌を覆い、アーチ状の堤体を彩っていました。風が吹くたびに落ち葉が舞い、静けさの中に秋の気配が漂います。

堤頂から鬼怒川下流を望む。紅葉が峡谷を埋め尽くし、息をのむ美しさです。(2025年11月2日撮影)

堤頂の通路は一般開放されており、自由に往復できます。真下をのぞきこむと、高さ140メートルの落差に思わず足がすくむほど。見下ろした谷には鬼怒川の清流が流れ、遠くに架かる橋と紅葉のコントラストが絶妙でした。午後は日差しがダム下流から差し込み、堤体が黄金色に輝く瞬間もあります。

川治ダムの堤体全景。アーチが美しく反り返り、紅葉の山々に調和しています。

見学のあとは、車で約10分ほどの「川治温泉」へ。渓谷沿いの温泉宿や足湯があり、ダム見学で冷えた体を温めるのにぴったりです。龍王峡(りゅうおうきょう)まで足を延ばせば、奇岩と渓流が作り出す自然の造形も楽しめます。

また、川治ダムは「五十里ダム」「湯西川ダム」「川俣ダム」と並ぶ“鬼怒川上流四ダム”の一つ。ダムカードを集めながら4か所をめぐる「ダムめぐり旅」も人気です。紅葉の季節はどのダムも美しい景観を見せてくれます。

秋の川治ダム。アーチ式堤体の背後に広がる山々が赤や黄に染まり、まさに紅葉の最盛期。(2025年11月2日撮影)

紅葉とダム、そして温泉。この三つを一度に楽しめるのが川治エリアの魅力です。静かに流れる時間の中で、自然と人の技術が共存する風景を堪能できました。

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